『小さな走者と、ことばのあいだに』

2025年6月29日(ミミさん記)


今朝もまた、ジュマは曲がり角で立ち止まった。

リードの先でぴたりと止まるその背に、朝のひかりがゆらりと当たって、私も歩を止めた。

焦らず、急がず。

しばらくしてから、勢いよく駆けだす。まるで迷いを振り払うように。

この公園までの道を、こうして何度も往復できるようになった。

それだけで、今日という日は十分だ。

スクーターで駆けまわるキキとノノと、

それに負けじと走る私たち。

「まるでワイルドファミリーだ」と笑った。

公園から帰ったあとはそのまま庭へ。

水の跳ねる音と子どもたちの声。

元気な日差しと、元気すぎる足音。

嬉しくて、少し目を細めた。

午後にはジージとバーバも加わって、にぎやかさはさらに倍に。

最初の“おはワン”こそあったものの、

そのあとはちゃんと仲良くできて、ジュマなりの1UP。

それだけに、トイレの課題はやっぱり惜しい。

遊んで興奮してると、サイクルが短くなるのか、2時間もたたずにシッシ。

トレーまで戻るには間に合わなかった。

でも、焦る必要はない。

次は、戻ってできるようになればいい。

歯磨きだって、今日からできた。

嫌がる様子もなく、ミミさんの声と手に任せるように口を開けてくれて、

私はその光景にちょっと驚いて、ちょっと感動していた。

そして今、私のなかで静かに揺れていることがある。

「ダメな時は叱る」「無視がしつけ」…

どこかで聞いたそういう言葉に、最近、疲れてきた。

だって、私はキキやノノに怒ったことがない。

ただ、言葉で話してきただけだった。

それでちゃんと伝わってきたし、分かってくれていた。

1歳のキキが、私の話を理解した日のことを思い出す。

言葉が通じたときの、あの胸がいっぱいになるような瞬間。

きっとジュマにも、それは通じる。

言葉が違うだけ。それさえ超えれば、きっと。

私たちは“しつけ”なんてしたくない。

共に暮らすってことを、ちゃんと伝えたいだけ。

明日から、ミミノブ流の犬育てがはじまる。

言葉の温度で伝える、

やわらかくて確かな日々。