『風をまとう休日、四人と一匹』

記録:ミミさん(2025年6月25日)


朝の空気が、ほんの少しだけ澄んでいる気がした。

家族四人が揃う土曜日。

窓の向こうには、早くも陽ざしが庭の片隅をあたためはじめていた。

ジュマはというと、朝の“おはワン”はあれど、今日は「嬉シッシ」はなし。

落ち着いた足取りでトイレに向かい、

「ポティポティ」の声にぴたりと応えるように、見事なシッシ成功。

そっと見守る私たちの目も見開いたまま、

大成功の朝となった。

ご飯を食べて、時計はまだ九時。

「そろそろチッチもシッシも…」とミミさんが手帳をめくるけど、ジュマはのんびり構えたまま。

ならば、と散歩へ出ることに。

キキとノノはスクーターで風を切り、ジュマは軽やかに駆ける。

気がつけば、私たち大人も息を合わせて走っていた。

土を蹴る音、笑い声、追い風。

この一体感こそ、かつて夢見ていた家族の姿だった。

公園から戻ると、庭で水をまき、

そのまま水遊びに突入。

ぴちゃぴちゃと跳ねる音に混ざって、ジュマのはしゃぎ声。

ああ、これは“休日”という言葉がよく似合う風景だ。

夕方、ご飯のあとにサークルへ戻そうとしたその矢先、

ジュマはその場でシッシ。

出ることはわかっていたのに、間に合わなかった…。

悔しさよりも、ごめんねという気持ちが先に立つ。

きっと次は、うまくいく。

そのあとは、初めての爪切りに挑戦。

魔女のようにのびた先端を、恐るおそる、ほんの数ミリだけ。

ジュマは少し緊張していたけれど、じっと我慢してくれた。

こうしてまたひとつ、はじめてを乗り越えた。

そして今日の締めくくり。

なんと歯磨きができた。

はじめは嫌がっていたジュマが、今ではすっかり慣れた様子で、

されるがままにお口を預けてくれる。

これも毎日の積み重ねのおかげ。

ピシッと決めるミミさんの手つきは、もはやプロのトレーナーのようで頼もしい。

気づけば今日も、できることがまたひとつ増えていた。

この子と歩く日々には、

毎日小さな“はじめて”が落ちている。

それを拾い集めながら、

また明日も楽しみにしていられるのが、

何よりしあわせだった気がする。